『日本人の9割が知らない遺伝の真実』を読んだ(内容や、感想など)

先日、『日本人の9割が知らない遺伝の真実』という本を読みました。

その内容や感想について書きます。

※一部ネタバレ含みます。ご了承下さいm(_ _)m

本の概要

内容としては、行動遺伝学・教育学の専門家である著者・安藤寿康氏が、「親がバカなら勉強しても無駄」、「才能は遺伝で全て決まってしまう」といった遺伝にまつわる誤解を解きながら、個人が遺伝を生かして自分らしく生きていく方法を提起する、といったもの。

橘玲氏が書いたベストセラー本『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)が、読者にショックを与える形で、偽悪的に行動遺伝学の知見を紹介してしまったことに対抗して書かれた書籍だそうです。

プロローグ「かけっこ王国」の話

まず、この本の導入部分が、面白いんです。

「かけっこ王国」という架空の国が出てくるのですが、その国ではかけっこの速い人が優秀な人と認定され、その後の進路を自由に選べるんですって!

だからみんな、小さいときから一生懸命かけっこの訓練をするわけですが、社会に出たら、訓練なんて辞めてしまうんだとか。

変なの!
あれ…でも、これ私たちの社会も同じじゃない…?

と私たちの社会の理不尽さに気づかせてくれる内容でした。

著者の主張と、感じたこと

さて、本書(行動遺伝学の知見)によると、知能や性格、さまざまな分野における才能は、遺伝の影響を強く受けているそうです。(※)

しかし、「努力した分だけ能力は伸びる」といった考えのもと、人々は学力・知能偏重の学校教育や社会において、理不尽な頑張りを強いられ、不要な劣等感を抱かされています。

そもそも、社会の役に立つ能力は知能だけでなく無数にあるのに、社会的に認知されていないものも多いのです。

ですから、もっと評価の基準を多様化し、人々が自分なりの能力、自分らしさを生かしながら活躍できる社会にしていくべきだ、といったことが著者が最も伝えたいことのようでした。

確かに、その通りだと感じました。

ゆとり教育は失敗したし、学力は大切なものでもある、さらに成果を数値化して評価しやすいものでもあります。

そういう意味でも、昔ながらの学力を重んじる学校教育のあり方は今後も大きくは変わらないように思います。

ただ、子どもが勉強に本当に向いていなくて、やりたくないと訴えられたときに、せめて家庭では、それなら得意なことを頑張ったら良いよ、と声をかけてあげたいものだな…と感じました。

(できるかな?ドキドキ。状況に応じて、ですかね。)

少なくとも、学力偏重の教育のあり方は理不尽さを伴っているという視点を忘れずに持っていたい、と。

※「能力は遺伝の影響を受ける」の意味

補足ですが、本書によると、「能力は遺伝の影響を受ける」とは、「親の特徴が子どもにそのまま受け継がれる」という意味ではありません。

能力は、生まれ持った遺伝的素質で決まってしまう、という意味です。

以下、本書より引用

子どもの形質がどうなるかはあくまでも確率であり、両親の値を足して2で割ったくらいの子どもが生まれる可能性が一番高いのは確かです。…中略…しかし重要なのは、同じ親からさまざまな遺伝的素質の子どもが生まれるということです。

ですから、この本は、親の能力は子どもに遺伝するよ・・・!という話ではなく、能力は個人の生まれ持った遺伝的素質で決まってしまう、という話なので、誤解しないよう注意が必要です!!!

次回は、子育て・教育は無意味なのか?について書きます

と、ざっくりした内容と感想を書いたところで、長くなったので今回はいったん記事を締めたいと思いますm(_ _)m中途半端ですみません!

次回は続編ということで、知能や性格、さまざまな分野における才能は遺伝の影響を強く受けるのなら、子育て・教育は無意味なのだろうか?ということについて書きたいと思います。

お読みいただきありがとうございました・・・。

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