落合陽一氏の『これからの世界をつくる仲間たちへ』を読みました。

落合陽一氏の『これからの世界をつくる仲間たちへ』を読みました。

印象に残ったポイントや、感想などについて書きます。

著者と本の概要

2015年には、米theWTNが技術分野の世界的研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」を受賞。

「現代の魔法使い」とも呼ばれている天才で、世界でもっとも注目される日本人科学者の1人です。

この本は、そんな落合氏が、コンピュータが発達して変革していく時代を生き抜くためには、どのような生き方・考え方をしていけば良いか?について書いた本です。

落合氏ファンの夫が購入した本ですが、いろいろと考えが古く、時代についていけていない私も学べることが多いのではないかと思い、読むことにしました。

印象に残ったポイント(3点)

読む前は、コンピュータや科学技術に疎い私でも楽しめるだろうか?と心配していましたが、読んだところ専門的な話ばかりではなく、時代の変化を解説した上で、これからの時代をどう生き抜いていけば良いのか?という内容がメインだったので、楽しめる内容でした。

特に印象に残った3点をご紹介します。

人間にあって、コンピュータにないものは「モチベーション」

落合氏は、コンピュータが進化し、様々な仕事がコンピュータに取って変わられる中、「コンピュータには不得意で、人間のやるべきことは何なのか」、「どのようにして人の良いところと人工知能の良いところを組み合わせて次の社会にいくのか」について模索していくことが大切だと説いています。

そして、コンピュータになくて人間にあるのは、「モチベーション」だと言います。

いまのところ、人間社会をどうしたいか、何を実現したいかといったようなモチベーションは、常に人間の側にある。だから、それさえしっかり持ち実装する手法があれば、いまはコンピュータを「使う」側にいられるのです

モチベーションのない人間は発達したコンピュータにいつか飲み込まれてしまう。逆に、「これがやりたい」というモチベーションのある人間は、コンピュータが手助けしてくれます。

『これからの世界をつくる仲間たちへ』より

これからの時代は、専門性が大切

2点目は、これからの時代は専門性が重要、ということ。

落合氏は、これからの時代は、「コンピュータに駆逐されない自立的な仕事」ができるようになるには、何でも水準以上にこなせるジェネラリストではなく、専門性を持つスペシャリストになることが大切、と述べています。

処理能力の高いジェネラリスト(=ホワイトカラー)は、コンピュータに居場所を奪われてしまうからです。

また、コンピュータの発達により、多くの情報(マニュアルのような「形式知」)がシェアされる時代では、他人にはコピーできない「暗黙知」や専門知識にこそ大きな価値がでてくるからです。

そして、従来のホワイトカラー教育を否定し、これからは「専門的な暗黙知を持つクリエイティブ・クラス(=創造的専門性を持った知的労働者)を目指すべきだ」と説いています。

思考体力をつけることが大切

3点目は、思考体力をつけることが大切、ということ。

落合氏によると、クリエイティブ・クラスの人間の仕事は、まず誰も気づかなかった問題がそこにあることを発見するところから始まります。

そして、そのために必要になるのが、「勉強」ではなく、「研究」。

コンピュータの使い方を覚えるのではなく、「コンピュータとは何か」「プラットフォームとは何か」を考え、自分が何を解決するか、プラットフォームの外側に出る方法を考えに考えて考え抜くことが大切です。その「思考体力」を持つことが若い世代にとって重要になるでしょう。

ネットや他人から得た情報を鵜呑みにするのではなく、あらためて自分で考える習慣をつけることが、思考体力を高めるための第一歩でしょう。

『これからの世界をつくる仲間たちへ』より

思考体力は、子供時代から培われると言います。

小さい子供に思考体力を身につけさせたいなら、周囲の大人がいろいろな問題について「言語化」を促すのが効果的とのこと。

ちゃんと聞いてあげること。

「楽しかった」という抽象的な感覚を言語化するために質問を重ねてあげること。

ふだんから物事を掘り下げて考える習慣がある親は、子供に説明を求めるので、子供は自分の思いを言語化しようと努力し、結果的に思考体力が培われるとのことです。

印象に残ったポイント(まとめ)

特に印象に残った3点をご紹介しました。

まとめると、コンピュータの台頭する時代に、自分の価値を高めていくためには、まずは自分自身で解決したい身の回りの問題を発見することが重要。

そして、その問題意識をモチベーションに思考を重ね、研究をし、自分独自の専門知識を得ること。

そして、それを成し遂げるために、小さい頃から思考体力をつけ、物事を深く掘り下げ、言語化する習慣をつけることが大切。

こんな感じになるのではないかと思いました・・・。

感想など

これからの時代をどう生きていけば良いか?どういう考え方をしていけば良いか?についての内容が盛りだくさん。そして、落合氏の、「若い世代やその親世代に何らかのモチベーションを与えたい」という熱い思いが込められた1冊。

新しい価値観を知りたかった私にとっては、なかなか刺激的な内容でした。

そして意外にも子育て・教育に関係する内容も多く、参考になりました。

(英語教育、プログラミング教育、キャリア選択などへの言及もありました。)

ところで、私自身、クリエイティブクラスを目指しているわけではありません(当たり前ですが、なれません)。

もちろん子どもにも、クリエイティブクラスになって欲しいと思っているわけではありません。(そりゃ、なってくれたらすごいですけど。)

ただ、だからと言って、この本の内容を「自分には関係ない」、「頭のいい人だけが考えれば良いこと」だけで片付けてしまうのはもったいないと思うのです。

時代が、社会が変わっているのに、考え方や生き方、あるいは教育のあり方が変わらないのはやはりおかしいわけで・・・どこかで必ず不適合が生じます。

だから、時代の変化を知ること、そしてその変化に応じた新たな生き方・考え方について知ることは重要だと思います。

そしてそれは、子どもや若い人、頭が良い人だけの課題ではなく、普通の大人も一緒に考えていくべきことだと思うのです。自分ができる範囲で?

だから、この本を読んで時代の変化を少し知って、新しい視点を得ることができて良かったと思いますし、新しく得た視点は常に忘れずに持っていたいと思っています。

あとは、子育てする上でも、新たな視点を大切にしていきたいですね!

長くなりましたが、お付き合いくださった方はありがとうございました。

これからの世界に関心がある方には、オススメの1冊です。

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